大吟醸造り

新年が明けた早朝、杜氏と蔵人たちは年内最初の大仕事である大吟醸造りにかかります。
低温発酵で長期間発酵させるには、寒さ厳しいこの時期が最も適しているのです。花の舞大吟醸造りは、技術伝承のために、機械に頼らず全ての工程を手作りで行います。

杜氏と蔵人たちの尽力のもと、大吟醸は完成します。

大吟醸造りにおいて、もっとも重要な要素が米に含ませる水分量です。厳しい寒さの中、蔵人たちは最高の蒸米を目指します。

全ての大吟醸に「山田錦研究会」から買い取った地元産山田錦を用います。精米歩合40%になるまで削ります。

浸漬の様子

洗米された米を仕込み水に漬けて浸漬します。この浸漬はストップウォッチ片手に秒単位で管理されます。この浸漬で米にどれだけ水を含ませるかが、後々の工程に大きな影響を及ぼすためです。
大吟醸造りにおいて、もっとも重要な作業です。

蒸米の様子

蒸窯に浸漬した米を入れて、「外硬内軟」と言われる蒸米として最適な状態に蒸し上げます。外側が柔らかいと、麹菌の菌糸が心拍の奥深くまで伸びず、理想的な麹に育たないためです。

麹の発育を促進するために、麹室は温度30度以上、湿度60%のサウナのような空間です。この中で蔵人たちは慈しみながら麹の発育を待ちます。

麹造りの様子

蒸米に種麹を振り、麹蓋と呼ばれる容器に麹(麹菌をまとった蒸米)を移し、ここで発育を待ちます。均一に空気がいきわたり温度管理されるよう、朝夕問わず蔵人が手入れします。

幾層にも積み重なった麹蓋で管理される麹は、それぞれに異なる温度となります。均一な温度を保つため、7~8時間後に麹の温度や様子をひとつひとつ確認します。

更に6~7時間後、麹の手入れをし、積み重なった麹蓋を入れ替えます。この作業により、麹の粗息が抜け酸素が供給されます。

酒母

大吟醸に使われる酵母は、静岡県産酵母のみ。静岡県産山田錦と静岡県産酵母、正に花の舞の静岡ブランドを象徴する商品と言えます。

発酵の様子
貯蔵タンク

タンクに麹、酒母、蒸米を投入します。櫂棒で様子を見ながら、一カ月間低温発酵させます。

搾り

搾り
槽搾りの様子

醪を枕カバーサイズの粕袋に入れ、酒槽に積み上げます。この上に重しを載せ、酒を搾ります。