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静岡山田錦研究会 活動レポート41<2008年度>


 梅雨のさなか1回目の圃場巡回を実施。各地区の代表圃場の稲の成長を視察。

まだ緑が濃い山田錦の圃場
まだ緑が濃い山田錦の圃場

 

1株の茎数を数える
1株の茎数を数える

 

圃場を視察する会員
圃場を視察する会員

 

葉色板を使って稲の色を確認する
葉色板を使って稲の色を確認する

 

昼食会場で話す鈴木会長(右)
昼食会場で話す鈴木会長(右)

静岡山田錦研究会の恒例の活動である今年1回目の圃場巡回が7月4日(金)に行われました。
梅雨のさなか、前日までグズついた天気が続いており、雨の中の巡回となるのかと思われましたが、当日はカラリと晴れ上がり、真夏並みの暑さの中で巡回は行われました。
この圃場巡回は会員の圃場(田んぼ)を回り、稲の生育状態を視察するもので、7月、8月にそれぞれ1回ずつ行われます。広いエリアにまたがる会員全員の圃場はとても1日では回りきれないため、7月、8月は各地区の代表圃場20カ所を巡回します。この内9ヶ所は会の発足当時から12年間変わることなく、毎年稲の観察が継続して行われています。
今年も鈴木良紀会長をはじめ、全地域の視察を希望する会員とJA関係者、そして、事務局の花の舞酒造からスタッフ、土田製造部長、蔵人らが参加。この他、自分の地区のみ視察する会員は時間を見計らって、本隊が到着するのを各地で待ち受けるというやり方で行われ、夕方まで精力的に巡回しました。

3本で植えた苗がどれだけ増えているか。1株の茎数を確認する。
圃場へ到着するとすぐに計測係が圃場へ入り、ポールを刺してある位置まで進み、手際よく測定を行います。ポールは毎回同じ稲を調査するための目印です。
7月の巡回で行うのは1株の茎数の確認。田植え時の苗が何本に分けつしているかを数えます。研究会では今までのデータ蓄積により、この時期の最良の本数を設定しています。
その本数に達していれば、それ以上分けつしないように止めなくてはなりません。分けつが多すぎると太い茎、細い茎とバラツキが出てしまい、栄養も太い茎の方へ偏りがちになり、それが最終的にもみの大きさのバラツキにつながるからです。
今年の分けつの状況について鈴木良紀会長は、「この時期の理想は4本。研究会では3本植えを基本としているので合計で10本から12本くらいが多かった。それぞれ、もう1本ずつ分けつして中干しに入るという感じでしょうか。やや分けつが多いものもありましたが、植え付け本数自体が若干多いのかもしれません。分けつが良くないというのは今年はなかったですね。今のところ順調です」と語りました。
稲の分けつを止めるのは、圃場の水を切り、中干しをすることで行います。「水を切る」とは、田んぼの水を抜いて圃場を干すこと。通常、田植えから35日くらい経過する7月中旬から始めて下旬まで中干しが行われます。あまり大きなヒビ割れをつくらない程度に水を抜いて、軽く根に刺激を与えてやり分けつを止め、稲に穂をつくる準備をするよう知らせてやるのです。

苗を浅く植えることが稲の成長のための基本 。
 有効に分けつするためのポイントは、「田植えの時に苗を浅く植えること」と鈴木会長は言います。「稲は根の地面(じづら)から分けつを始めます。だから、浅く植えれば土の上に出てくるのが早く、広がって出る。また、1本1本の茎も揃っています。
ところが、苗を深く植えると、土の中にいる時間が長く、出てくるのが遅い。しかも、土の中で力尽きて出てくると細い茎になってしまいます。
だから、浅く植えて、同じような状態で地面から出してやる。そして、中干しをして、1回分けつを止めてやることによって同じくらいの太さになれば、出穂の時期もいっしょになります。それが、バラバラだと、もみの品質から大きさ、刈り取りの時期まですべてに影響してしまいます」。
静岡山田錦研究会では発会当初から田植えは1〜2cmの浅植えを指導してきましたが、その理由はここにあったのです。今年は巡回してみてどうだったの聞くと、「みんな浅植えでやっているようでした」との答え、もう、浅植えはすっかり定着しているようです。

葉色を見て肥料の効き具合を確認する
 この巡回でその他におこなわれるのは稲の色のチェックです。上から2枚目、開いている葉の色を葉色板を使って確認します。葉色板は黄緑色(1)から深い緑色(7)まで、7段階に分けて色が付けられている板で、それを葉に近づけ、葉の緑色がどのくらいの濃さであるかを数値で表します。
今年はどうだったのか鈴木会長に聞くと、「色の濃いものがありました。今年は曇天が多く日照時間が足りないことも多少影響があるかもしれませんが、おそらく肥料が少し多かったのでしょう。今は最も濃い色のピークが過ぎて、色が抜け始める頃です。7月上旬は4から4.5がベストですが、今年は5から6が多かった。でも、だんだん色が抜けて、8月に入って3から3.5に下がって入れば大丈夫です。これから水の管理をきちんとやればいい。そのへんはみんな要領が分かっていますからうまくやってくれると思います」と語り、会員の技術に信頼を寄せていました。

水を浅く張って管理するのにも配慮が必要。
 中干しが終わった後は、足跡に水がたまる程度に水を張って浅水管理を行います。ただ、このときも注意が必要です。「中干しをすると稲は土の中に細かい根を出します。水を入れてやると今度は稲本来の根を出すのです。その切り替えがうまくいくように、一度に水を入れるのではなく、一回水を入れて、スーッと抜いて、徐々に根を切り替えさせます。そして、浅水で管理するわけです」と鈴木会長。やはり、良い稲を育てるためには細かな心遣いが必要なのです。
それにしても、晴れ間が少ない今年の梅雨の天候が気になるところですが、それについて鈴木会長に聞くと、「日照不足のせいか稲がフニャっとしていてやわらかい状態になっています。しかし、これから天気が良くなればだんだんしまった稲になっていくのではないでしょうか」と語り、それほど心配はいらないようです。
今年は梅雨明けが早くなるという予報もあり、次回、8月上旬に行われる2回目の圃場巡回では稲はどんな姿を見せてくれるのか、期待したいと思います。

第2回目の圃場巡回は8月8日に行われる予定です。
次回の巡回の様子もレポートしますのでどうぞご覧ください。

 
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